BtoBとBtoCの違いとは?ECに活かすためのポイントを解説

 2025.02.03  株式会社DGコマース

BtoBとBtoCの違いとは?ECに活かすためのポイントを解説

ビジネスモデルの違いによって、顧客へのアプローチやマーケティング手法は大きく異なります。そして、この違いは、EC事業の展開にも深く影響を与えます。「BtoB」「BtoC」とは、企業が展開する取引形態を示すビジネス用語ですが、これらを理解し、それぞれに最適な戦略を立てることが、ECサイト運営の成功につながります。

本記事では、BtoBとBtoCの基本的な特徴や違いを解説するとともに、EC事業に活かすための具体的なポイントをお伝えします。「自社のビジネスモデルに合ったEC戦略を構築したい」「BtoBとBtoCの違いを施策に反映したい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

BtoBとBtoC

BtoBとBtoCの違いとは?ECに活かすためのポイントを解説=BtoBとBtoC

ビジネスシーンで頻繁に使われる「BtoB」と「BtoC」という言葉。何となく意味は理解しているけれども、それぞれの正確な意味や違いを理解していない方も多いかもしれません。

BtoBは企業間取引を、BtoCは企業と消費者間の取引を指し、それぞれ異なる特性とアプローチが求められます。この違いは、EC事業におけるマーケティング戦略や顧客対応にも大きな影響を与えます。

本セクションでは、BtoBとBtoCの定義と特性を詳しく解説し、両者を理解することで、ビジネス推進やECサイト運営にどのように役立てられるかをご紹介します。

BtoBとは

BtoB(Business to Business)は、企業間で商品やサービスを取引する形態を指します。B2Bと略されることもあります。例えば、工業製品の部品供給やITソリューションの提供が該当します。取引先が法人であるため、以下のような特性があります。

  • 取引の長期性:長期的な契約や信頼関係が重視される。
  • ニーズの明確化:購買基準は「コスト」「品質」「実用性」など、合理的な視点が中心。

また、近年ではBtoB向けECサイトの導入が進み、発注業務や在庫管理を効率化するケースが増えています。

BtoCとは

BtoC(Business to Consumer)は、企業が個人消費者に対して商品やサービスを提供する取引形態を指します。B2Cと略されることもあります。百貨店、小売店等の店舗や一般消費者向けのECサイトがその代表例です。

BtoCの特徴としては以下が挙げられます。

  • 短期的な購買サイクル:個人のニーズや衝動が購買行動に直結。
  • ターゲットの広さ:数多くの顧客を集めることが収益の鍵となる。

EC事業においては、UX(ユーザー体験)やパーソナライズ施策が競争優位性を高める要素となっています。

BtoBtoCとは

BtoBとBtoCの中間に位置する形態が、BtoBtoC(Business to Business to Consumer)です。企業と消費者の間に別の企業が介在し、取引を支援するモデルを指し、旧来のビジネスモデルでいう卸売業や流通業が、このBtoBtoCに該当します。

現代ではインターネットの発達により、ECモール・ECマーケットプレイス・Webサービスのプラットフォームといった新たなBtoBtoCの形態が登場したことから、注目されるようになりました。BtoBtoCは三者すべてに利益をもたらすモデルであり、特にEC事業では、多くのビジネスチャンスを生み出しています。

また、近年ではCtoC・DtoCといった新たな取引形態も登場しています。以下の記事で解説していますので、こちらもぜひご一読ください。

CtoCとは何か?BtoB、BtoC、BtoEとの違いやそれぞれの取引形態を解説

BtoBとBtoCの違いをポイント別に解説

BtoBとBtoCの違いをポイント別に解説

BtoBとBtoCは、対象とする顧客の特性や取引プロセスが大きく異なるため、ビジネスモデルやマーケティング手法にもさまざまな違いが見られます。これらの違いを理解することで、EC事業における戦略設計にも役立てることができます。

ここでは、BtoBとBtoCの主な相違点を具体的に解説し、特にEC事業でどのように活用すべきかを考えるヒントをご紹介します。

購買の意思決定者の違い

BtoBとBtoCの最も顕著な違いは、購買の意思決定プロセスにあります。

  • BtoB:企業活動の一環として商品・サービスを購入するため、複数の担当者が協議・検討を行い、最終的には決裁者が意思決定を行います。このプロセスは複雑で、取引先との関係性の構築や信頼性の提示が重要なポイントとなります。
  • BtoC:消費者自身が利用者であるため、意思決定は個人レベルで完結します。感情や直感が購買行動に大きく影響するため、購買プロセスは比較的シンプルです。

EC事業への活用 
BtoBでは取引先ごとにカスタマイズされた提案や情報提供が求められます。一方、BtoCでは簡潔で魅力的な商品ページやレビューが購買決定を促す鍵となります。

購買における判断基準の違い

購買の基準も、BtoBとBtoCでは大きく異なります。

  • BtoB:合理性を重視した基準が中心で、「コスト効率」「実用性」「ROI(投資対効果)」が重要視されます。
  • BtoC:価格や流行、個人的な感情や価値観が購買判断に影響します。「安いから」「欲しいから」という直感的な動機も多く見られます。

EC事業への活用
BtoBでは「仕様書ダウンロード」や「ROI計算ツール」など、合理的な判断をサポートする機能を提供することが効果的です。BtoCでは「セール情報」や「人気ランキング」といった、購買意欲を刺激する要素が効果を発揮します。

リードタイムの違い

意思決定のプロセスの違いは、リードタイムにも影響します。

  • BtoB:長期間にわたる検討が必要。複数のステークホルダーが関与するため、意思決定のプロセスが多く、契約までに時間がかかります。
  • BtoC:購入者の判断が個人レベルで行われるため、リードタイムは短い傾向があります。

EC事業への活用
BtoB向けECでは、見積もりやサンプルリクエストを迅速に行える機能を整備することが重要です。BtoCでは、「限定セール」や「即時配送オプション」の導入が購買を後押しします。

扱う商材の違い

BtoBとBtoCでは、取り扱う商品やサービスの特性が異なります。

  • BtoB:製造過程で使用される資材や部品などが中心で、多重下請構造が形成されている業界も少なくありません。商材には「品質」「信頼性」「コスト」が求められるため、実用的な価値が重要視されます。
  • BtoC:消費者を対象とするBtoCでは、完成品の販売が主流です。購入後すぐに使用できる商品が多く、デザインやブランドイメージも購買決定に影響を与えます。

EC事業への活用
BtoBでは、詳細な仕様や図面のダウンロード機能、発注履歴の確認機能、リアルタイムでの納期・在庫情報の共有が有効です。一方、BtoCでは、商品の魅力を引き出す高品質な画像・動画や購入者レビューの活用、個別のおすすめ提案などが顧客満足度の向上に繋がります。

単価の違い

BtoBとBtoCでは、商材の単価にも大きな違いがあります。

  • BtoB:取引先が法人であるため、1件あたりの取引額は非常に大きくなることが一般的です。その一方で、取引先の数は限定的であるため、継続的な取引関係を構築することが重要となります。
  • BtoC:一方で、BtoCでは単価の低い商品が中心ですが、多くの消費者を対象とするため、取引の量を増やすことが収益拡大の鍵となります。

EC事業への活用
BtoBでは、専用のカスタマーポータルで価格交渉や契約更新を円滑に行う仕組みが効果的です。BtoCでは、クロスセルやアップセルを活用し、1顧客あたりの単価を引き上げる施策が求められます。

マーケティング手法の違い

BtoBとBtoCでは、ターゲット特性や購買プロセスの違いにより、採用されるマーケティング手法にも大きな差があります。それぞれの違いを理解することで、EC事業の設計や施策の方向性を明確にすることができます。

BtoBマーケティング

  • 特徴:BtoBでは、少数のターゲットに対して深くアプローチし、長期的な信頼関係を構築することが重要です。購買プロセスが複雑なため、ターゲットの課題解決に役立つ情報提供や詳細な説明が必要です。
  • 手法の例:展示会、セミナー、訪問営業(フィールドセールス)、ホワイトペーパーやウェビナーなどのオンライン施策。

BtoCマーケティング

  • 特徴:BtoCでは、多くの顧客に広くアプローチし、商品の魅力を短時間で伝えることが求められます。購買プロセスが短いため、感覚的な購買を促す施策が中心です。
  • 手法の例:SNSやWeb広告、メールマーケティング、コンテンツマーケティング、リターゲティング広告。

これらの手法の違いを前提に、次のセクションでは、BtoBとBtoCそれぞれのマーケティング施策を成功に導くための具体的なポイントを詳しく解説します。

BtoBとBtoCのマーケティングのポイント

BtoBとBtoCのマーケティングのポイント

BtoBとBtoCでは、顧客特性や購買プロセスの違いに応じて、マーケティング施策の重点ポイントも異なります。ここでは、それぞれのマーケティング手法と、成功に導くためのポイントを解説します。

BtoBマーケティングの手法とポイント

主な手法

  • オフライン施策:展示会、セミナー、訪問営業(フィールドセールス)、インサイドセールス(内勤営業)。

  • オンライン施策:ホワイトペーパー、ウェビナー、比較サイト、メールマーケティング、Web広告、SNS活用。

近年では、デジタル化の進展により、オンライン施策が急速に普及しています。特に、リード獲得を目的としたホワイトペーパーの提供や、自動化ツール(MAツール)を活用したターゲティング施策が注目されています。

マーケティングのポイント

  • 取引先のニーズを深く把握
    顧客が抱える課題や目標を理解し、それを解決する具体的な提案を行います。
  • 判断材料の提供
    導入事例、ROI(投資対効果)分析データ、詳細な製品仕様などを通じて、意思決定者の信頼を得る。
  • 長期的な関係構築
    頻繁な情報提供やコミュニケーションを通じて、信頼関係を強化します。

EC事業への活用
BtoB向けECでは、ホワイトペーパーのダウンロードや業界特化型の導入事例ページを整備することで、リードを効率的に獲得できます。また、見積もり依頼フォームや発注履歴の閲覧機能を設けることで、商談の効率化と顧客満足度の向上が図れます。

BtoCマーケティングの手法とポイント

主な手法

  • オフライン施策:マスマーケティング(テレビや新聞広告など)。

  • オンライン施策:SNS広告、Web広告、メールマーケティング、リターゲティング広告、コンテンツマーケティング。

特にWeb広告やSNS広告は、ターゲティング精度の向上により、効率的な集客手段として広く活用されています。また、顧客データを活用したパーソナライズ施策が重要性を増しています。

マーケティングのポイント

  • 多様なチャネルを活用
    ビジネスモデルやターゲット属性に合わせ、SNS広告やWeb広告、メールマーケティングなど、消費者が接触する複数のチャネルを活用し、一貫性のあるメッセージを届けます。
  • 購買トレンドへの敏感な対応
    消費者心理や市場トレンドを反映したキャンペーンや新商品の打ち出しをタイムリーに展開し、興味を引きつけます。
  • パーソナライズされた顧客体験の提供
    購入履歴や行動データを活用し、個々の顧客に最適な商品を提案するレコメンドや、特別感を演出する限定クーポンの配布を行います。
  • 継続的な改善(PDCAの実行)
    マーケティング施策の効果を測定し、顧客ニーズや行動データを分析しながら、施策の改善を繰り返します。

EC事業への活用

BtoC向けECでは、新規顧客の獲得にSNS広告やリマーケティングを活用することが効果的です。また、購入履歴や閲覧データを基にしたパーソナライズ提案や限定クーポンの配布により、リピート購入や顧客ロイヤルティを向上させることができます。さらに、商品レビューやランキングページを活用することで、購入の意思決定を後押しし、サイト全体の信頼性向上にもつながります。

特に、顧客体験(CX)の最適化は成功の鍵です。たとえば、レコメンド機能で個々の顧客に最適な商品を提案したり、レビュー表示の充実で購入時の安心感を高めることが重要です。また、ポイントプログラムやロイヤルティ施策を導入することで、顧客満足度をさらに向上させることができます。

これらの取り組みを通じて、単なる商品販売サイトではなく、「選びやすく、買いやすい」魅力的なECサイトを構築することが可能になります。

レコメンドエンジンおすすめ7選を徹底比較|機能やツールの選び方を解説

BtoBとBtoC、どちらも「ECサイト」の活用が拡大中

BtoBとBtoC、どちらも「ECサイト」の活用が拡大中

これまでBtoCでのECサイト活用が主流でしたが、近年ではBtoBの分野でもECサイトを積極的に取り入れる企業が増えています。BtoC-ECが販路拡大や消費者の利便性向上を実現してきたのと同様に、BtoB-ECでも商取引の効率化や商圏拡大といった大きなメリットをもたらしています。

特に、競争が激化しスピード感が求められる現代では、取引形態を問わずECサイトをどのように活用し、自社の強みを最大限に引き出すかが重要な課題となっています。

BtoB・BtoCそれぞれのECサイト活用方法については、先述の「意思決定者の違い」「商材の特性」「単価の違い」などを踏まえたアプローチが効果を発揮します。自社のターゲットやビジネスモデルに応じて、ECサイトを設計し、最適な体験を提供することが競争力の向上につながります。

BtoBにおけるECサイト活用については、以下の記事でも詳しく解説しているため、併せてご参考ください。

BtoB ECとは?市場規模とBtoCとの違いを最新データで解説
FAX注文はもう古い?課題とビジネス効率化のための代替方法を解説

まとめ

現代のビジネス環境では、BtoB・BtoCといった従来の取引形態に加え、CtoCやDtoCといった新しいモデルも一般化しています。それぞれの取引形態に合わせて、ターゲットや商材特性を考慮したマーケティング施策やECサイト運営を行うことが、競争力を高める鍵となります。

特に、ECサイトの構築・運用においては、取引形態に応じた柔軟な設計や顧客体験(CX)の最適化が求められます。これにより、効率的な取引と顧客満足度の向上が実現し、持続的な成長を目指すことが可能です。

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