リユース業界の市場規模は4兆円に拡大する?最新動向と将来性2024

 2024.09.20  株式会社DGコマース

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フリマアプリやリユースECの拡大、さらにSDGs達成に向けた世界的な取り組みの加速を背景に、リユース業界の市場はかつてないほどの成長を見せています。2022年の市場規模は約2.9兆円に達し、2030年には4兆円に拡大するとの予測もある中、消費者のエシカル消費意識や環境意識の高まりがこのトレンドを後押ししています。

本記事では、リユース業界の基本概要から最新の市場動向、将来性、そして業界を牽引する企業の成功事例について解説していきます。

リユース業界とは?基本のビジネスモデルを説明

リユース業界とは、古物の売買や交換などを行うことで再利用を後押しする産業を指し、循環型経済(サーキュラーエコノミー)を支える重要な存在と言えます。ここでの古物は、一度使用された中古品(リユース品)だけでなく、購入後未使用のまま放置された商品も含まれます。そのため、新品の商品を取り扱う「一次流通」に対し、リユース市場は一度人に渡った商品を取り扱うので「二次流通」と呼ばれています。

リユース業界のビジネスモデルは、企業が商品を買い取り、その商品を販売して利益を得るBtoCモデルが一般的です。しかし近年、フリマアプリやネットオークションを通じたCtoC取引が急成長しており、これに加え、企業が仲介して消費者間の取引をサポートするCtoBtoCモデルも広がりを見せています。

リユース業界の主な仕入れチャネルには、店頭買取・出張買取・宅配買取・催事買取・古物市場・卸仕入れなどがあります。販売チャネルとしては、店舗販売ネット販売、さらには海外輸出などが活発化しており、特に日本の中古品は海外市場でも高い評価を受けています。

また個人からの買取では、引っ越しや家の片付けなどで発生する「不用品の処分」と、現金が必要な際に品物を換金する「高価買取」という2大ニーズが確立されており、生活スタイルの変化や経済状況に応じて需要が拡大しています。

リユース業とリサイクル業の違い

リユースは、不要になった商品を再び利用することを指し、リサイクルはペットボトルなどの廃棄物などを再資源として利用することを意味します。両者は「ものをムダにしない」という点で共通していますが、定義が異なります。

ただし、日本ではリユースを行う店舗を「リサイクルショップ」と呼ぶことが多く、業界全体も「リユース・リサイクル業界」として一括りにされるケースが多いため、一般的にはその違いがあいまいになっています。

リユース業界の市場動向と将来性

リユース業界の市場動向と将来性

国内市場が縮小傾向にある中、リユース業界は成長を続けており、今後も市場規模の拡大が見込まれる分野です。この成長の背景には、消費者のエシカル消費志向や、環境に配慮した持続可能な社会を目指す取り組みが影響しています​。また、コロナ禍においてもリユース市場は拡大を続け、不況に強い業界としての特徴を再確認させました。リユース市場の拡大は、廃棄物の削減や資源の有効活用に寄与しており、持続可能な社会の実現に貢献しています。

2025年の市場規模は3.25兆円に拡大

リユース業界の市場規模は、2022年に約2.9兆円、2025年には3.25兆円規模に拡大するとされており、今後も拡大が予測されています。特に2030年には4兆円規模に達するとの見込みがあります。国内外でのリユース商品の需要が高まる中、この成長は持続すると期待されています​。

出典:リユース経済新聞『リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)

不況に強い業界

リユース業界は景気に左右されにくく、むしろ不況に強い業界といわれています。通常のビジネスでは、不況時に新商品の開発や生産が停滞することが多いですが、リユース業界は商品を買い取り、その商品を販売するビジネスモデルのため、停滞することがありません。

「不要品を売りたい」「安価な中古品を購入したい」といった需要が増加するため、リユース業界にとって不況は大きなビジネスチャンスになります。実際、2020年のコロナ禍でも、在宅勤務やステイホームといった外出自粛によって業績悪化した業界が多い中、リユース市場は拡大を続け、フリマアプリや宅配買取サービスが消費者の利便性を高め、さらに市場成長を後押ししました。

持続可能な社会とエシカル消費を意識する国内外の消費者ニーズにマッチ

現在、持続可能な社会を築くことを目標に、「SDGs」達成へ向けた取り組みが世界中で活発化しており、リユース業界はその一翼を担っています。特に、消費者のエシカル消費(倫理的消費)への関心が高まる中、リユース品は廃棄物を減らし、資源を有効に活用する手段として支持されています。

また、経済産業省の調査によれば、家庭に眠る不用品の推定価値は約7.6兆円に達しています。さらに、メルカリが実施した調査では、その総額は約67兆円(国民一人あたり平均約53.2万円)に上るとされています。これは、日本にはまだリユース市場に流通していない大量の「かくれ資産」が存在することを示しており、今後、取引の安全性や利便性が向上することで、リユース市場のさらなる拡大が期待されています。

加えて、日本製の中古品はその「高い品質」と「状態の良さ」が世界中で評価されており、特に円安の影響も追い風となって、リユース商品の輸出ビジネスが好調に推移しています。これにより、日本製中古品は海外市場での需要が増加し、国内外での市場拡大を支える要因となっています。

参照元:経済産業省「平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)」
メルカリ「2023年版 日本の家庭に眠る“かくれ資産”調査

DXの進展

リユース業界全体で進行しているデジタルトランスフォーメーション(DX)が、業界の効率性と競争力を向上させています。AIによる自動査定や、データを活用したデータドリブン経営が浸透しており、これにより迅速かつ正確な対応が可能になりました。企業は、買取から販売までを一元管理するシステムを活用し、消費者へのサービスの質を向上させています。これらの技術革新が、今後の市場成長を後押ししています。

リユース業界における4社の成功事例

リユース業界における4社の成功事例

リユース業界の成長は、各企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、効率化や顧客満足度の向上に成功している点が大きなポイントです。フリマアプリの普及やオンラインオークションの活用、ブランド品や高額商品を取り扱う専門サービスなど、企業の多様な取り組みが市場を牽引しています。ここで紹介する企業の共通点としては、消費者のニーズに合わせた柔軟な対応や、AI・データ管理を活用した業務効率の向上が挙げられます。

事例1:BuySell Technologies

株式会社BuySell Technologiesは、着物やブランド品などを中心に、買取から販売まで総合リユース事業をを展開する企業です。同社が展開する「バイセル」では、ターゲットをシニア層に絞り、出張買取を中心に店舗買取や宅配買取など様々な買取方法を提供することで、利用者を増やしています。

さらに、テクノロジー戦略として「リユースDX」を掲げ、買取から販売までデータで一元管理するシステム「バイセルリユースプラットフォームCosmos」を開発するなどDXを推進しています。データドリブン経営により、効率的かつスピーディなサービスを提供しているのが特徴です。

出典:BuySell Technologiesコーポレートサイト「事業を支えるテクノロジー戦略」

事例2:マーケットエンタープライズ

株式会社マーケットエンタープライズは、販売店を持たずにインターネットを通じて、リユース品の買取から販売を手掛けるネット型リユース事業を展開しており、生活必需品や趣味嗜好品、農機具や建設機械、医療機器等の法人向け商材をはじめ、多様な商材に特化した28の買取専門サイトに加え、販売さーびすとして、「ヤフオク!ベストストアアワード 総合賞」を2017年から3年連続で受賞している「ReReオークションストア」や自社ECサイト「ReRe」などを運営しています。

リユース業界では珍しい30日以内の買取保証制度や最大3年の保証制度を設けるなど、顧客満足度を向上させる独自の施策を展開しています。

事例3:メルカリ

株式会社メルカリは、日本最大のCtoC(消費者間取引)フリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運用しています。事業者を介さず中古品売買がオンラインで行える手軽さから利用者が大幅に増加し、2013年の設立以来成長を続けています。

AI等のテクノロジーを活用した出品の簡便化や商品レコメンデーション機能の提供など、利便性の高いUI/UXを通じて顧客体験の向上を図っています。さらに、集積された二次流通データを元に、一次流通企業と連携し、新たなビジネスモデルの開発を進めています。

また、日本国内だけでなく、欧米市場にも展開しており、国際展開においては、特に日本製中古品の高品質が海外で評価され、需要が高まっています。

事例4:コメ兵ホールディングス

株式会社コメ兵ホールディングスは、日本のリユース市場において高級ブランド品の買取と販売を中心に事業を展開しています。主力ブランドとしてはKOMEHYOやBRANDOFFがあり、これらを通じて国内外でのリユース事業を推進しています。高級ブランド品の査定や検品に注力しており、厳格な品質管理を行うことで顧客に安心感を提供しています。

同社は、リユース業界のデジタル化にも積極的に取り組んでおり、オンライン査定サービスの導入により、消費者が自宅からでも査定や取引を行える仕組みを構築しています。また、AIを活用した査定技術により、効率化を進めるとともに、迅速かつ正確な対応を実現しています。オンラインとオフラインの販売チャネルを併用することで、多様なニーズに応える仕組みも整えています。

さらに、コメ兵は日本国内だけでなく、東南アジアや欧米など海外市場への展開も進めています。日本製ブランド品の品質が海外でも評価されており、同社の輸出業務の強化が進んでいます。

まとめ

リユース業界は、景気に左右されにくいビジネスモデルと、環境意識の高まりに応えることで、今後も市場拡大が見込まれる分野です。特に、消費者の間でエシカル消費やサステナビリティに対する関心が強まり、リユース品の需要が高まっていることがその背景にあります。また、デジタル技術の導入により、リユースECサイトの利便性が向上し、オンラインでの中古品取引も成長を続けています。

このようなリユースビジネスを含むECサイトの構築や運営に興味を持つ企業担当者には、『新しい「EC」の教科書』をおすすめします。この資料では、現代のEC業界における重要なトレンドや新たなビジネスチャンスについて詳しく解説しており、リユースを含めたビジネスの成長戦略を検討するための参考となります。


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