ソーシャルログインとは?仕組みやメリット、注意点を紹介

 2022.09.15  株式会社DGコマース

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ECサイト・Webサービスを運営する事業者は、ユーザーの利用率・継続率を高めるために日々さまざまな工夫を行っています。近年ユーザーにとっても事業者にとってもメリットが大きく、ECサイト・Webサービスの利用率・継続率向上に役立つ機能のひとつがソーシャルログインです。

当記事では、ソーシャルログインの概要・仕組みから、事業者・ユーザーそれぞれのメリット、導入方法、注意すべきデメリットまでを解説しています。

ソーシャルログインについて詳しく知りたい方や、これから導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

ソーシャルログインとは

ソーシャルログインとは、ユーザーが既に所有しているLINE・Facebook・TwitterといったSNSやGoogle・Yahoo!JAPANといったWebサービスのアカウントを用いて、Webサイト・Webサービスにログインすることができる機能です。

これらのアカウントは多くのユーザーに広く普及しているため、ソーシャルログインを導入することで、ユーザーは手軽に新しいWebサービスの利用を開始することができます。

ソーシャルログインは他にもユーザー・Webサービス事業者の双方に多くのメリットをもたらすため、現在では多くのWebサービスにて導入が進められています。

ソーシャルログインの仕組み

ソーシャルログインの導入を考えているのであれば、どのような仕組みで既存SNS・Webサービスのアカウントからのログインが実現されているのかも知っておくことが重要です。

ソーシャルログインは、OAuth・OpenID Connect等のプロトコルを用いることで、以下のようなプロセスを辿って実現されています。

  1. Webサイト・Webサービス等に設置されたソーシャルログインボタンをユーザーがクリック。
  2. Webサービス側がプロトコルに従って、ユーザーからリクエストを受けたSNS・Webサービスアカウントとの連携を認可サーバーに依頼。
  3. 認可サーバーがWebサービス側の要求に従い、ユーザーの画面上にSNS・Webサービスのユーザー情報利用の認可を表示。
  4. ユーザーが合意すれば、認可サーバーからWebサービスへユーザーデータ利用の許可が発行され、ログインが完了。

ユーザーが自身のSNS・Webサービスのアカウント情報をWebサービス側が利用することに合意することで、ログイン可能となる仕組みとなっています。

ソーシャルログインのメリット【事業者側】

ソーシャルログインの事業者側のメリット

ソーシャルログインは急速に普及しつつあり、実際に実装しているWebサイト・Webサービスも多く見かけるようになりました。その理由は、ソーシャルログインはWebサイト・Webサービスを運営する事業者にとって多くのメリットがあるためです。

ここでは、ソーシャルログインの導入により事業者が得られるメリットについて解説します。

登録時の離脱を防ぐ

一般的なWebサービスはユーザーにアカウントを作成してもらう必要がありますが、登録作業が煩雑だと登録段階でユーザーが離脱してしまう可能性があります。

一方でソーシャルログインが実装されたWebサービスであれば、ユーザーは既存のSNS・Webサービス等のアカウントでそのままサービスの利用を開始できるため、登録時の離脱を防ぐことができます。

Webサービス登録段階での不要な失客を防げることは、多くのユーザーを集めたいWebサービス事業者にとって大きなメリットです。

リピート利用の促進

Webサービスで初回に登録したアカウントを紛失してしまったり、都度のログインを手間に感じたりするユーザーは一定数存在します。

ソーシャルログインが導入されたWebサービスであれば、ユーザーが既存アカウントを用いて手軽にログインできるため、ログインにかかる手間が抑えられリピート利用を促進することができます。また、ソーシャルログインに利用しているSNS・Webサービスからメッセージを配信することで、自社Webサービスの利用を促進することも可能です。

Webサービスはユーザーに長く利用してもらうことがビジネス成長の鍵であるため、リピートを促進できることは事業者にとって大きなメリットとなります。

OMO施策の実現

OMOとは、オンライン・オフラインを融合させることで顧客体験の向上、ひいては売上の向上を狙う施策のことです。

ソーシャルログインでは、ログイン時にユーザーが持つSNS・Webサービスのアカウントと、ECサイト・Webサービスとの友だち登録・ID連携を促す機能を実装することも可能です。アカウントを連携させることにより、デジタル会員証・デジタルクーポン配布・ポイント付与・デジタルプロモーションといった、OMO実現に必要となる施策もスムーズに実施することができます。

オムニチャネルやOMOといったシームレスな販売戦略は今後一般的となることが予想されるため、ソーシャルログインによりさまざまな施策を実現できることは、オンライン・オフライン両方でビジネスを展開している事業者にとって大きなメリットとなるでしょう。

セキュリティの強化につながる

Webサービスを提供する事業者は、ユーザーログイン・ユーザーアカウントに関するセキュリティリスクには徹底的な対策を行っておく必要があります。しかし、自社サービスのセキュリティ強化には多大な労力・時間・コストを要するのが実状です。

ソーシャルログインであれば、SNS・Webサービスに搭載されている多要素認証・二段階認証・セキュリティ機能の効力をそのまま享受することが可能です。また自社のWebサービスでユーザーのアカウントを保有する必要も無いため、アカウント漏洩・流出のリスクからも解放されます。

自社で対策を行うことなくセキュリティを強化できることは、Webサービス事業者にとって非常に大きなメリットでしょう。

SNS情報の取得

ソーシャルログインを導入すれば、ユーザーが利用しているSNS・Webサービスのアカウント情報を取得することができます。どのような情報が取得できるのかはソーシャルログインに利用するSNS・Webサービスにより異なりますが、以下のようにさまざまな情報を取得することが可能です。

  • メールアドレス
  • 氏名
  • 性別
  • 年齢
  • 生年月日

取得した情報は、自社Webサービスのマーケティング・プロモーション・販促施策等に活用することができます。また、取得したい情報に合わせてソーシャルログインに用いるSNSやWebサービスを戦略的に選定するという手段を取ることも可能です。

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ソーシャルログインのメリット【ユーザー側】

ソーシャルログインのユーザー側のメリット

ソーシャルログインは、実際にWebサイト・Webサービスを活用するユーザー側にも数多くのメリットがある仕組みです。

ここでは、ソーシャルログインのユーザー側のメリットについて解説します。ユーザー視点でどのようなメリットがあるのかを確認しておきましょう。

登録時に情報入力の手間が減る

ソーシャルログインが導入されたWebサービスであれば、ユーザーは既存のSNS・Webサービスのアカウントを利用してサービスを利用することができます。そのため、Webサービス利用にあたって新たにアカウントを作成したり登録のための情報を入力する手間を省くことが可能です。

不要な手間を省いて手軽に新しいサービスの利用を開始できることは、ユーザーにとって大きなメリットとなります。

新しくID/パスワードを覚えなくて済む

ソーシャルログインが導入されたWebサービスであれば、新たにアカウントを作成することなく既存のSNS・Webサービスのアカウントでサービスを利用できるため、ユーザーがアカウントの入力や管理を行う手間を省くことができます。

利用するサービスごとに複数のアカウントを管理することは、ユーザーにとっては非常に面倒なものです。ログイン時のアカウント入力やアカウントの管理を行うことなく、既存のアカウントと連携させるだけで新しいWebサービスを利用できることは、ユーザーにとって大きなメリットでしょう。

セキュリティの強化につながる

事業者側のメリットでもご紹介しましたが、ソーシャルログインではSNS・Webサービスが提供している多要素認証・二段階認証等の強固なセキュリティ機能をそのまま利用できるため、ユーザーは安全性を確保しつつ新たなWebサービスの利用を開始することができます。

ソーシャルログインに利用するSNS等のアカウントさえ厳重に管理しておけば、Webサービスの利用にあたってアカウントの盗用・なりすまし・不正ログイン等の被害に遭うリスクも大幅に低減することが可能です。

このように、一般的なアカウントを用いるWebサービスよりも大幅にセキュリティを強化できることも、ソーシャルログインによりユーザー側が得られるメリットとなります。

ソーシャルログインを導入する方法

ソーシャルログインを導入する方法

ソーシャルログインを導入するには、外部の専用サービスを利用する方法と、APIを活用して開発を行う方法の2種類があります。

ここでは、上記2点の導入方法についてそれぞれ解説します。

 

 

外部サービスを利用する

ソーシャルログインを導入する一般的な方法は、ASPと呼ばれる外部サービス事業者が提供するソーシャルログイン機能を利用する方法です。

ASPに対してサービス利用料を支払う必要はありますが、開発・導入・保守・管理に関する工数・コストを大幅に低減できるのが大きなメリットです。

社内でソーシャルログインの実装や管理のためのリソースが少ない場合や、手軽に導入を行いたい場合においてはおすすめの方法となります。

APIを利用して開発する

ASPが提供するソーシャルログインの機能では自社の要件を満たせない場合には、APIを用いて独自のソーシャルログイン機能を開発するという方法もあります。

自社が求める機能要件を自由に満たせることがメリットですが、APIの取得には各Webサービス・SNS等の審査を通過する必要があり、実装する自社サービスの仕様に合わせた設計・開発を行う必要があるため、開発には相応の時間・労力・コストが必要です。自社で内製が難しい場合には、開発会社へ依頼しなければならないケースもあります。

ASPではどうしても要件を満たせない場合やどうしても実装したい機能がある場合以外は、基本的には外部サービスを利用して導入した方が良いでしょう。

ソーシャルログインの注意すべきデメリット

ソーシャルログインの注意すべきデメリット

ソーシャルログインはメリットの多い仕組みですが、いくつかのデメリットも存在するため、導入時には事前に把握しておく必要があります。

ここでは、ソーシャルログインの注意すべきデメリットについて解説します。

導入時にコストが発生する

ソーシャルログインを導入するには、既存の外部サービスを利用する場合においても独自システムを開発を行う場合においても、導入費用や開発費用といったコストが発生します。また、実装を行うにはAPI・OAuthに関する専門的なスキルが必要となるため、エンジニアの人的コストや外注費用も必要となります。

ソーシャルログインはメリットが多く便利な機能ですが、導入するためには相応のコストがかかる点には留意しておかなければなりません。

SNS側の仕様変更の影響を受ける場合がある

ソーシャルログインは、SNSやWebサービスが提供するAPIを活用してデータを取得する仕組みとなっています。そのため、ソーシャルログインで利用しているサービスの仕様変更やシステムの更新等の影響により、データの取得や連携に支障が出る場合があります。

各サービスの動向についてはこちらから関与することはできないため、仕様変更等による影響について都度対処したり動向を把握したりしなければならない点がデメリットです。

ASPを利用してソーシャルログインを導入している場合は、ASP側が対処を行ってくれるため、仕様変更のデメリットを大幅に低減することができます。

SNS等に登録された情報しか取得できない

ソーシャルログインの実装時には、どのサービスからどのような情報を取得するのかを事前に決定しておく必要があります。取得する情報はSNS・Webサービス等の各サービスが取り扱っているユーザー情報の範囲内に限定されます。

そのため、ソーシャルログインで利用するサービスによっては、ソーシャルログインの導入のみでは、本名・住所等の本人確認に繋がる重要な情報を取得できないケースがあるため注意が必要です。

まとめ

ソーシャルログインは、ECサイト・Webサービスを運営する事業者にとってもこれらを利用するユーザーにとってもメリットのある優秀なサービスです。ECサイトへ導入を行えば、新規ユーザーの獲得・リピートの向上・利便性提供による顧客満足度向上など、ECビジネスの成長に繋がるさまざまなメリットが得られるでしょう。

これからのECサイトが継続的に成長・発展していくためには、このような新しいデジタル技術を積極的に活用していくことが重要です。弊社では、EC業界のトレンドや技術動向について解説した最新の資料を提供していますので、ぜひこちらもご参考下さい。


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