導入事例|UCCホールディングス株式会社様

eコマースサイトの基盤を集約・統合することにより、
次なる成長ステージへ


UCCホールディングス株式会社
グループEC推進室 室長 坂本晃一氏
主なコーヒー飲料製品
主なコーヒー飲料製品

UCCホールディングス株式会社様は、「一人でも多くの人においしいコーヒーを届けたい」という創業精神を受け継ぎながら事業領域を広げ、現在ではコーヒー関連事業、業務用サービス事業、外食事業を中核産業に国内外に約50社のグループ事業会社を擁しています。

2010年に各事業部門で個別に行っていたeコマースのシステム基盤を「SI Web Shopping」に統一しました。事業発展の中でバラバラに増え続けるeコマースサイトの基盤を統合する狙い、得られた効果、今後の展望など、興味深いお話しをいろいろとお聞きました。

3つの事業それぞれでeコマースを展開

―最初に貴社の事業についてお聞かせください。

UCCは、コーヒー関連事業、業務用サービス事業、外食事業の3つを主たる事業としています。コーヒー関連事業はUCC上島珈琲株式会社を中核企業として、苗木を育てることからコーヒーの販売までの全てを「カップから農園まで」という一貫事業としてグループで展開しています。

業務用サービス事業はユーシーシーフーヅ株式会社を中核企業として、全国の喫茶店・ホテル・レストランなど約数万軒の外食店に業務用のコーヒー製品やさまざまな食材を卸しています。そして、ユーシーシーフードサービスシステムズ株式会社を中核企業として、「上島珈琲店」や「珈琲館」「カフェプラザ」など国内外約650店の外食店舗を展開しているのが外食産業です。

―これらの3事業とeコマース事業はどんな関係なのでしょうか。

それぞれの事業の内容が異なるので、事業に合ったeコマースを独自に展開しています。たとえば、コーヒー関連事業では「ほの珈琲」というサイトでコーヒー豆などを販売していますし、業務用サービス事業では「ロイヤルシェフ」というサイトで、コーヒーだけでなくいろいろな業務用食材を販売しています。

「ほの珈琲」UCCのコーヒー通販。世界のおいしい豆を お届けします。「ロイヤルシェフ」ユーシーシーフーズの業務用食材専門店

―販促の仕組みなども統一化できるのでしょうか。

事業内容が異なるので、それぞれの特性を生かした販促活動を行っています。たとえばコーヒー関連事業はネット主体のプロモーション、業務用サービス事業はリアルの営業員がチラシなどの紙媒体でという感じです。外食事業では、例えばトレイに敷く紙に案内を載せたらなどいろいろ模索しています。

2010年に各事業分野のeコマースのシステム基盤を統一

―事業会社も別々で、販売している商品や形態も異なるのに各事業会社のeコマースのシステム基盤を統一したのはなぜでしょうか。

狙いは4つあります。1つは「重複コストの削減」です。プラットフォームを共通化することにより、バラバラに発生していた保守や運用コスト、計測システムの統一により削減できます。2つ目は「インキュベーション促進」です。UCCグループはM&Aを積極的に展開しています。現在約50社あるグループ会社や新規に加わる会社でも、これからeコマースビジネスを展開していかなければなりません。基盤を統一しておくことにより、こうした会社が容易にeコマースを開始できるのです。

3つめの狙いは「企画と運営の分離」です。各事業会社はそれぞれの強みを打ち出したeコマースを展開するわけですが、eコマースやシステム運用の人材が潤沢にいるわけではありません。運営部分を共通化して効率を上げ、各事業会社には企画・販売に専念してもらえる体制が取れるのです。そして最後は「ITガバナンスの強化」です。各事業部がバラバラにシステムに取り組んでいる状態では、全体のガバナンスが効きません。基盤を統一することで安全で信頼性の高いシステムを担保できるという狙いがあります。

―システム基盤を統一すると、さまざまな利点が出てくるのですね。

毎週、各事業者の担当者が集まってeコマースでトライしたことなどを報告し合っています。あるサイトでやってみて効果があった試みは、すぐに別のサイトにも適用するのですが基盤が一緒なので簡単に実装できます。
効果はシステム面だけではありません。こうしたアイデアやノウハウをナレッジ化して、良さそうだったら真似をするという情報共有もしているのですが、システム基盤が同じだからこそナレッジ化する価値があるわけです。不具合なんかも瞬く間に横に伝わりますよ(笑)。

こうした活動を通してeコマースのノウハウをお互いが高め合うという良いシナジーができてきました。また、コーヒー豆とコーヒー機材のクロスセルなどのアイデアも出て来て、これまで完全に別々だった各eコマースの相乗効果も生まれつつあります。

eコマース基盤構築の目的

シェアードサービス型ながらインキュベーション型で展開

―ホールディングスと各事業会社は、どのような役割分担でやっているのでしょうか。

構築したeコマースの資産はホールディングスにあり、各事業会社から利用料をもらうというシェアードサービス方式にしています。ただし、同時にグループ全体の新規事業を活性化するというインキュベーションの役割もありますので、基本的に売上の小さなところの利用料は安く「出世払い方式」的なやり方にしています(笑)。あとは、先ほど述べたようなeコマースのナレッジ共有や人材の育成面もホールディングスとして取りまとめています。

eコマースから既存リアル事業への貢献も期待

―eコマースをやることによって、逆に既存のリアル事業に役立つことはありますでしょうか。

eコマースから既存リアル事業への貢献も期待

当社は店舗運営も行っていますが、基本的にはコーヒー豆のメーカーであり卸のB to B事業です。そのような立ち位置で事業展開していると、どうしてもお客様の声をダイレクトに聞く機会が限られてしまいます。eコマースを行って、お客様と直接やり取りさせていただくと、顧客目線でいろいろな気づきがあります。現在、その効果をさらに狙って、ソーシャル系との連携などもやり始めています。B to Cで得られたノウハウをB to Bに活かすという試みを積極的にやっていこうと思っています。

 

―貴社は楽天などのモールでも販売していますが、棲み分けはどう考えていますか。

現在、楽天、アマゾン、Yahooという主要3モールでも販売しています。位置づけとしては、これらのモールで新規顧客を獲得して、自社サイトでリピート顧客になってもらうという感じでしょうか。その流れを強く押し出すため、現在、ポイント制も実施しようと準備しています。また、別の観点でみると、モールはB to Cが主体ですが、自社サイトではB to Bの比率が大きいという傾向にもなっています。

統一基盤に「SI Web Shopping」を選んだ理由

―今回の基盤統一のベンダー決定プロセスをお聞きしてもよろしいでしょうか。

UCCグループのeコマースをどのようにして行くか、コンサル会社も入れて検討して2010年12月に数社にRFPを提示しました。各社の提案の中からシステムインテグレータ社を選定した理由は次の4つだったように記憶しています。

  1. こちらで提示した機能要件に対する適合率が一番高かった。
  2. コストもリーズナブルだった。
  3. 以前から利用していたので、だいたいの機能が分かっていた。
  4. エンジニアの方がeコマースに対する経験・知識が豊富で、 一緒にプロジェクトをやって行けるメンバーだと肌で感じた。

こういうシステム構築では、特に、4番目のフィーリングというのが重要だと思っています。

―実際に一緒にプロジェクトを行ってみて、当社のサポートはいかがだったでしょうか。

最初に感じた通り、豊富な経験やノウハウ、失敗例の蓄積を糧に、親身になっていろいろと提案してくれたと思います。1つ要望を言うとすれば、そういう過去のノウハウからだけでなく最新のSEOなど新しい技術、知識面でもっと提案をいただければなお良いと思います。

営業の方とも良い信頼関係ができて、いろいろなことをざっくばらんに相談できているのが良いですね。もう少し銭勘定に緩くなってくれるとなお良いのですが…(笑)。

―今度、SI社に要望することはどんなことでしょうか。

eコマースと基幹業務連携をもっとスムーズにやっていきたいと思っていますので、いろいろと相談させてもらいたいと思います。機能面では、自社サイトの在庫をモールの在庫に連携するなどモールの管理機能のようなものがあると助かります。

今後の展望

―最後に今後の展望をお聞かせください。

インタビューは弊社社長の梅田が行いました。

eコマースの重要性がますます高まってきていますので、リアルの売上に対してネットの売上を伸ばしていかなければなりません。今年は3年の中期計画の1年目ですので、まずは各事業会社が初年度の目標をクリアすることを目指します。

各社がeコマース事業を推進する中で、顧客目線を持つ人材の層を厚くしてバーチャルとリアルの両方で活躍してもらいたいと思っています。そのためにソーシャルを含めてこの1、2年いろいろなことにチャレンジしていきます。

将来的には、現在、各事業会社で行っているeコマースを仮想的もしくは実際に一つの部隊でまとめて運用するような体制も考えていきたいと思っています。

インタビューご協力ありがとうございました。

UCCホールディングス株式会社