今や消費者にとっても企業にとっても身近な存在となったECサイト。その構築にあたってはさまざまな方法がありますが、それぞれ費用や期間が異なるうえ、ビジネスの規模や扱う商材によっても選択肢が変わってきます。
特にコロナ禍によってECビジネスへの注目度は増大し、ECサイトの構築に関わるサービスも多様化してきました。
そのため、ECサイトを新たに構築するにも、古くなったシステムをリニューアルするにも、「どこから着手すればいいかわからない」「どの方法やサービスが適しているかわからない」とお悩みや不安を抱えるEC担当者は少なくありません。
そこで本記事では、初心者からEC事業のプロの方までお役立ていただけるECサイト構築の検討ポイントについて網羅的かつ体系的に解説していきます。
冒頭でも触れたとおり、ECサイトの構築方法はさまざまです。自社にマッチするECサイト構築方法を選択するためには、サイト構築の目的を明確にし、その実現のために必要な要素を整理することが重要になります。目的が不明確だと、表面的な金額を判断基準にしてしまいプロジェクトとして失敗に終わる恐れがあるからです。構築方法やサービスそれぞれの特徴、メリット・デメリットを比較し、自社の目的に合ったものを選びましょう。
ECサイトを立ち上げる手段は、大きく2つに分かれます。
これらは実店舗をショッピングモール内に出店するのか、独自に出店するのかの違いに似ています。
モール型ECサイトに出店する場合、店舗ページを設けずに商品だけ登録するという方法もあります。出店というよりは出品に近く、より手軽に実現できます。
自社ECサイトは多くの場合、ゼロから開発するのではなく、提供・販売されているサービスを利用して構築されます。主な構築方法は以下の6つです。
構築方法 | サイト年商規模の 目安 |
こんな企業におすすめ | 初期費用相場 | 月額費用相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ASP(無料・有料) | ~1億円 | 初期投資を抑えつつ、ECサイトをすぐに始めたい | ~20万円 | ~10万円 | 1カ月~3カ月(申し込みからオープンまで) | × | Makeshop BASE |
クラウド型EC(SaaS) | 1億円~20億円 | 初期投資を抑えたいが、将来的にECビジネスを拡大したい | 300万円~ | 10万円~ | 3カ月~6カ月(申し込みからオープンまで) | ○(制限あり) | エビスマート shopify |
ECサイト構築パッケージ | 1億円~ | 機能やカスタマイズ性にこだわりたい | 500万円~ | 10万円~ | 6カ月~18カ月(契約からオープンまで) | ○ | SI Web Shopping ecbeing |
OSS (オープンソースソフトウェア) |
1億円~5億円 | システム開発力は十分に確保でき、コストを抑えたい | 0円 | 10万円~ | 3カ月~6カ月(契約からオープンまで) | ○ | EC-CUBE |
フルスクラッチ開発 | 50億~ | ECサイトの機能やサービスにこだわりたい、大規模EC事業者 | 数千万円~ | 数十万円~ | 12カ月~24カ月(契約からオープンまで) | ○ | - |
モール型ECサイト | ~1億円 | 集客ノウハウを持っておらず、モールの高い集客力を活用したい | ~数万円 | ~10万円 ※別途販売手数料が発生 |
数日~2カ月(申し込みからオープンまで) | × | 楽天 Amazon |
基本的には、以下のようなパターンで選定するイメージになります。
以下の表では、ここでご紹介する6つの構築方法それぞれが持つメリットとデメリットをまとめました。
構築方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
モール型ECサイト |
|
|
ASP |
|
|
クラウド型EC(SaaS) |
|
|
ECサイト構築パッケージ |
|
|
OSS(オープンソースソフトウェア) |
|
|
フルスクラッチ開発 |
|
|
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
モール型ECサイト | ~1億円 | 集客ノウハウを持っておらず、モールの高い集客力を活用したい | ~数万円 | ~10万円 | 数日~2カ月 | × | 楽天 Amazon |
モール型ECサイトとは、Amazonや楽天市場といったプラットフォーマーが運営する複数のECショップが並ぶショッピングモール型のサイトです。
用意されている機能を利用して簡単に出店できるので、ほかの構築方法と比べて素早く立ち上げることができます。また、これらのモール型サイトはすでに多くのユーザに利用されており、またプロモーションにも力を入れているため、ゼロから集客する必要がないというメリットがあります。
こうしたメリットがある反面、自由度が低い、販売に必要な手数料の率が高い、サイト内の競合との競争が激しい場合はサイト内での広告出稿も必要、といったデメリットもあります。
こうした特性から、複雑な要件がなく、利益率の高い自社商品を素早くコストをかけずに販売したいという場合は、モール型ECサイトと相性が良いといえます。
また、こうした特性から自社ECサイトと並行して利用することで販売チャネルの拡大に役立ちます。
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ASP(無料・有料) | ~1億円 | 初期投資を抑えつつ、ECサイトをすぐに始めたい | ~20万円 | ~10万円 | 1~3カ月 | × | Makeshop BASE |
ASPとはApplicationServiceProviderの略で、インターネット経由で提供されるサービスおよび事業者を指す言葉です。広義では、先ほどご紹介したモール型ECサイトもASPの一種ですが、ここでは「自社独自のECサイトを構築できるインターネット経由で提供されるサービス」についてご説明していきます。
ASPは他の自社ECサイトを構築する選択肢と比較して安価であるという特徴があります。ASPはECサイトに必要なカート機能を提供するものであることから「カートサービス(システム)」とも呼ばれ、手軽にネットショップを立ち上げるためにも利用されます。基本的には有料ですが、無料から利用できるサービスも増えており、気軽に立ち上げられるため多くの独自サイトがASPを活用して構築されています。
自社でサーバを用意する必要もなく、システム構築に関する専門知識は不要なため、ECビジネスの立ち上げと相性の良い選択肢です。「定期販売に強い」など特定の通販領域に特化しているサービスも多くあります。
バージョンアップもサービス使用料に含まれていることが多く、最新の機能を使い続けることができます。
障害が起きることもありますが、システムに関する障害対応を自社で行う必要はほとんどありません。
その反面、用意されている機能の範囲でしか利用できず、カスタマイズができないため、独自性を出したい場合や他のシステムとの連携などを行いたい場合はASPでは物足りなくなってくるでしょう。
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クラウド型EC(SaaS) | 1億円~20億円 | 初期投資を抑えたいが、将来的にECビジネスを拡大したい | 300万円~ | 10万円~ | 3~6カ月 | ○ 制限あり |
エビスマート shopify |
クラウド型ECは、SaaS(クラウドサービス)として提供されるECサイト構築機能です。SaaSとは、Software as a Serviceの略で、サービスとして提供されるソフトウェアです。ソフトウェアを購入し独自にインストールするのではなく、サービスとして利用する形態を指します。ASPもサービスとして利用するものとなるので、SaaSとASPは概念的にほぼ同じと言えます。
一般的な言葉の定義としては、以下のような違いがあります。
また、ECサイト構築の文脈におけるASPとクラウド型(SaaS)は以下のように区別することができます。
ニュアンスの違いではありますが、本記事ではこちらを前提に説明を進めていきます。
こうした文脈で使い分けられ始めたのは、ASPと後述するパッケージ型のあとにSaaSが登場したという流れがあり、パッケージ型の特徴を持ちつつクラウド上のサービス化され提供され始めたものがSaaSとして市場に登場したという背景があるからです。
近年は国内で開発されたクラウド型ECだけでなく、海外のクラウド型ECも利用できるようになってきています。
ですので、クラウド型ECは、おおまかにはASPよりも高機能で拡張性があるものといえますが、機能の充実具合が違うというわけでもなく、機能面の比較では差を見つけるのは難しいでしょう。
高機能で拡張性がある反面、費用はASPと比べると高い傾向があります。しかし、サーバを用意する必要もなく、バージョンアップも利用料に含まれているため常に最新のサービスが利用でき、システムの運用も保守もお任せできるというASPと同様のメリットもあります。
そのため、フルスクラッチである必要はないけれどASPだとなかなかやりたいことが実現できないというある程度成長したEC事業者、またはビジネス要件が複雑で独自の機能が必要な事業者に適している選択肢といえるでしょう。
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ECサイト構築パッケージ | 1億円~ | 機能やカスタマイズ性にこだわりたい | 500万円~ | 10万円~ | 6~18カ月 | ○ | SI Web Shopping ecbeing |
ECサイト構築パッケージはECサイトに必要な機能がパッケージ化されたシステムです。他のパッケージソフトウェアと同様ゼロから作成する必要がないため、素早くECサイトを構築できます。
ECサイト構築の黎明期である90年代後半から2000年代前半までは、後述するスクラッチ開発かパッケージの2択だったため、「素早くECサイトを構築できる」というのは十分特徴でした。しかし、ここまでご紹介したとおり、今ではASPであってもクラウド型ECであっても素早く立ち上げることができるため、パッケージ型を説明する特徴としては適していません。
ECサイト構築パッケージの最大の特徴は、用意された機能を自由にカスタマイズできることです。通常、ECサイト構築パッケージを用いたシステムは自社独自の環境に構築されます。ASPやSaaSと異なり、完全に独立した自社オリジナルシステムとすることができるので、制限なく自由に機能の拡張・追加が可能です。
また機能追加はASPやSaaSと異なり、プラットフォーマーのアップデートやバージョンアップを待つ必要がなく、自社独自で実施が可能です。そのためビジネス環境の変化に素早く対応できます。
その反面、構築に時間やコストがかかります。当初「素早くECサイト構築できる」という特徴がありましたが、今ではむしろ時間がかかる選択肢となっています。
時間と費用をかけても投資対効果を出せるくらいの規模のECビジネス、あるいは規模を大きく成長させるために必要な機能拡張を自由に行いたい事業者と相性が良いのがECサイト構築パッケージです。
単なるシステムではなく、追加開発によるカスタマイズを含めてビジネス上の課題に対するソリューションとして提供されることがほとんどです。
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
OSS (オープンソースソフトウェア) |
1億円~5億円 | システム開発力は十分に確保でき、コストを抑えたい | 0円 | 10万円~ | 3~6カ月 | ○ | EC-CUBE |
OSSとはOpen Source Softwareの略で、無償で公開されているソフトウェアです。ECサイト構築パッケージは通常有償ですが、OSSはその無償版です。
OSSのメリットは、なんといってもコストです。数百万円かかるECサイト構築パッケージのライセンス費用を支払わず利用できます。
しかし、ECサイト構築パッケージと違って、OSSにはメーカーによるサポートや保守のサービスがありません。OSSによっては、有償サポートを行う第三者企業や、ユーザーが質問できる掲示板がありますが、基本的に利用に関しては自己責任となっています。
OSSを活用して自社のエンジニアでECサイトを構築する方法と、システム開発会社にOSSを活用してもらって構築する方法の2つがありますが、いずれにせよOSSの本体部分に責任を持ってもらうことはできないので、OSSで構築する場合は特にセキュリティに注意する必要があります。
OSS自体がアップデートを続けてセキュリティ対策を行っていても、事業者が旧バージョンで構築したものをアップデートしないまま利用していると、個人情報流出などの重大な事故につながってしまう可能性があります。
OSSを使う際は、こうしたリスクについても理解しておきましょう。
構築方法 | 年商規模の目安 | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ開発 | 50億~ | ECサイトの機能やサービスにこだわりたい、大規模EC事業者 | 数千万円~ | 数十万円~ | 12~24カ月 | ○ | - |
スクラッチ開発とは、すでに用意された部品を組み合わせ作るのではなく、木材から削り出す(Scratch)ようにオーダーメイドでシステムを構築する開発手法です。要は、ゼロから設計、プログラミングを行い、独自のシステムを開発する方法です。
他の方法と異なり、コストや納期、技術、リソースといった問題を除けば一切の制限がない自由度の高さがスクラッチ開発の特徴です。他の方法ではそもそも作りたいシステムが作れず、またそれらをベースとするメリットがない場合みスクラッチ開発が選ばれます。
独自のビジネスとその競争優位性は、ゼロから開発された世の中で自社にしか存在しないシステムでないと支えられないか、というならばそんなことはありませんが、「成長に向けて、自社でコントロールができないビジネス上の制約条件をできるだけ減らしておきたい」ということは十分にあり得ます。しかしそれを支えるには社内の専門家とリソースが必要です。
投資対効果が見合うビジネスかつ、そうした社内リソースが潤沢にあればスクラッチ開発によるECサイト構築が適しているといえるでしょう。
自社とマッチするかどうかの判断は、発生するコストにも大きく左右されます。ここでは構築方法別での参考費用感と料金体系について詳しく紹介します。
構築方法 |
初期費用相場 |
月額費用相場 |
導入期間相場 |
ASP(無料・有料) |
~20万円 |
~10万円 |
1~3カ月(申し込みからオープンまで) |
クラウド型EC(SaaS) |
300万円~ |
10万円~ |
3~6カ月(申し込みからオープンまで) |
ECサイト構築パッケージ |
500万円~ |
10万円~ |
6~18カ月(契約からオープンまで) |
OSS |
0円 |
10万円~ |
3~6カ月(契約からオープンまで) |
フルスクラッチ開発 |
数千万円~ |
数十万円~ |
12~24カ月(契約からオープンまで) |
モール型ECサイト |
~数万円 |
~10万円 |
数日~2カ月(申し込みからオープンまで) |
費用や期間については、以下の点を一つの目安としておくとよいでしょう。
ECサイト構築は、変化する市場に対応し自社ビジネスを成長させるための手段です。担当者は自社のビジネス要件に最も適した構築方法を選択することを求められますが、大前提として予算内(および期間内)に収まることが条件になります。
手軽にネットショップを開設するのと、本格的なデジタル上のプラットフォームを構築するのとでは、必要なコストと期間に大きな差があります。予算も期間もいくらでもかけてもよい、というECサイト構築プロジェクトはまずありません。要件を整理し、予算や期限に収まる
もっとも適した方法を選ぶ必要があります。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
モール型ECサイト | ~1億円 | 集客ノウハウを持っておらず、モールの高い集客力を活用したい | ~数万円 | ~10万円 | 数日~2カ月 | × | 楽天 Amazon |
費用の相場
期間の相場
モール型ECサイトに商品を出品・出店する場合はモールとの契約が必要となります。商品点数や利用するサービスによって、システムの月額利用料が決まります。また契約のプランや商品のカテゴリによって販売手数料率が定められており、月額利用料と合わせて料金が発生します。
その他、サイト内の広告サービスやフルフィルメントサービスなどオプションを利用する際の料金や、店舗型のモールサイトで独自にサイトデザインを設定する際にデザインを外注して作成する場合はその費用も別途発生します。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ASP(無料・有料) | ~1億円 | 初期投資を抑えつつ、ECサイトをすぐに始めたい | ~20万円 | ~10万円 | 1~3カ月 | × | Makeshop BASE |
費用の相場
期間の相場
一般的にASPは商品点数や利用する機能によって料金プランが分かれています。その点はモール型ECサイトと同じですが、違うのは販売手数料がないことです。その代わり決済方法によって決済手数料が発生します。これは実店舗と同様、カード会社や決済代行会社に対して支払うものです。
初期費用に幅があるのは、デザイン制作のコストが方法によって大きく変わるためです。ASP側で別メニューを提供しているサービスを利用することもあれば、デザイン会社に依頼する場合もあります。標準的なテンプレートを利用する分には利用料金内で対応可能ですが、別途デザインを作成する場合はコストが発生することを理解しておきましょう。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クラウド型EC(SaaS) | 1億円~20億円 | 初期投資を抑えたいが、将来的にECビジネスを拡大したい | 300万円~ | 10万円~ | 3~6カ月 | ○ 制限あり |
エビスマート shopify |
費用の相場
期間の相場
クラウド型ECもあまりカスタマイズをしなければASP並のスピード感でオープンすることができますが、カスタマイズがまったく不要な場合にクラウド型ECを選ぶことはあまりありません。基本的にはASPより期間がかかるといってよいでしょう。
クラウドECは決済代行業者との直接契約になるケースが多いため、カード決済の手数料等は費用相場の表記から外されますが、別途発生するという注意点があります。決済手数料の料率は、規模が大きくなれば交渉して下げられる可能性があるため、ASPに備え付けのものよりは安価に利用できるかもしれません。
初期費用についてはカスタマイズをどれくらい行うかによって大きく変わります。クラウドECを選ぶ場合、ECサイト構築パッケージやフルスクラッチを選ぶ場合と比べるとそこまでの規模のカスタマイズでないことがほとんどです。システム開発があっても半年前後でオープンできます。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ECサイト構築パッケージ | 1億円~ | 機能やカスタマイズ性にこだわりたい | 500万円~ | 10万円~ | 6~18カ月 | ○ | SI Web Shopping ecbeing |
費用の相場
期間の相場
ECサイト構築パッケージは自由度が高い反面、要件によって費用が大きく変わります。カスタマイズが少なく、必要なサーバの台数も少なければ初期費用2,000万円、月額費用70万円程度でスタートすることができますが、規模が大きくなるにつれて各費用は膨らんでいきます。
ECサイト構築パッケージを選ぶ場合、一定以上のカスタマイズを行う前提となるため、短くても半年かかることがほとんどです。ここでは代表的な項目の費用感についてご紹介していますが、実際にはサーバに導入するウイルス対策ソフトやドメイン取得費用など、ECサイトの稼働に必要なものはほかにもあります。
これらを1ストップで提供してもらうことも、それぞれを別々の業者から調達することもできます。サーバなどは自社のセキュリティ要件をクリアする環境を別に構築している場合、そこを拡張する形で利用することも可能です。こういった選択の豊富さもECサイト構築サービスならではといえます。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
OSS (オープンソースソフトウェア) |
1億円~5億円 | システム開発力は十分に確保でき、コストを抑えたい | 0円 | 10万円~ | 3~6カ月 | ○ | EC-CUBE |
費用の相場
期間の相場
OSSの場合、ライセンス費用がかからないこと以外はECサイト構築パッケージと同じで、サーバやセキュリティに関する費用、カスタマイズ費用が発生します。
しかしOSSでECサイトを構築する事業者は、費用を抑えて必要最低限で進めたいというケースが多いです。そのため結果としてライセンス費用以外も安い金額で収まります。
ただし、支払うコストが低い反面、内部の見えないコストが発生することも留意しましょう。自社で利用しているOSSのバージョンにセキュリティ上の問題がないかを定期的に確認し、対策する必要があります。こうした内部コストをかけずに安価に立ち上げたい場合は、ASPやクラウド型ECの方が適しているでしょう。
構築方法 | 年商規模イメージ | こんな企業に おすすめ |
初期費 用相場 |
月額費用 相場 (維持費用) |
導入期間相場 | カスタマイズ性 | 製品例/サービス例 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ開発 | 50億~ | ECサイトの機能やサービスにこだわりたい、大規模EC事業者 | 数千万円~ | 数十万円~ | 12~24カ月 | ○ | - |
費用の相場
期間の相場
フルスクラッチでの開発でも規模が小さければ安価に素早く立ち上げることは可能ですが、費用とスピードにこだわるのであれば他の選択肢の方が合理的です。スクラッチで作る場合は、かなりのコストと期間をかけるプロジェクトがほとんどです。費用は規模や要件などによって数千万円から数億円単位まで大きな幅があります。
自社にマッチするECサイトの構築方法を選択できたとしても、構築するベンダーと良好な関係を築けなければプロジェクトを成功させることはできません。ベンダーに丸投げではECサイト構築はうまくいきません。依頼主側も構築の手順や必要なことを理解し、ベンダーと一体となってプロジェクトを推進していく必要があります。ここでは、自社に最適な構築方法を選んだあとの、ECサイト構築プロジェクトの工程について詳しく解説しています。
細かい部分は構築方法によって異なりますが、大まかに以下の段取りがあります。
システムの乗り換えや基幹システムとの連携が必要な場合は、データの整備なども必要になってくるため、自社で行わなければならないこともしっかり押さえておくと安心です。
では各工程を詳しく見ていきましょう。
ECサイトの新規構築・リニューアルプロジェクトでは、システム会社やインフラベンダー、デザイン会社など外部ステークホルダーとのコミュニケーションが必要となりますが、まずビジネスとしてのグランドデザインが決まっていないことには、コミュニケーションもままなりません。グランドデザインをしっかりと固め、経営層からプロジェクトメンバーまで社内コンセンサスを得る必要があります。
グランドデザインが固まった後はそれを実現するためにどのようなシステムが必要か、要件を社内で洗い出していきます。ここで決めるポイントは、「どのようにシステムで実現するか」ではなく、「どのような業務・サービスを実現したいか」です。極論的にいえばシステムでの実現方法はシステムベンダーの提案を受けて自社に合う方法を採用すればよいのですが、まず、業務要件をブレがないようしっかりと定めることが重要です。
社内要件定義が終わったら実装機能の洗い出しを行います。この時点で一度、ECサイト構築のパッケージベンダーやサービス提供を行う会社と打ち合わせをし、どのような機能があるのか、他社がどのような取り組みをしているのか、システムとして実現性やコスト感はどの程度か、などヒアリングするフェーズを挟むこともできます。この時点で各ベンダーに情報提供を依頼する方法としてRFI(Request For Information)があります。
機能要件はフロント機能とバック機能に分けることができます。フロントとバックは表裏一体です。例えば、フロントでカートに商品を入れて決済した場合、バックでは受注管理機能に連動し、決済された受注を管理することになります。前述した業務要件に対して、フロントで実現したいこと、そのためにはバック側でどのような機能が必要になるか、をつなげて記載していくことで、抜け漏れのない機能一覧ができあがります。
そのほか、ECサイトの施策としてメルマガやレコメンド、また最近のトレンドではWeb接客などマーケティング機能を盛り込むことも必要です。これらWEB戦略に必要な機能については、以下の記事でもご紹介しています。
社内で実現したいシステムを決定したら、次はベンダーから提案を受けるための提案依頼書(Request For Proposal)を作成します。
提案依頼書はシステムを導入する/入れ替える目的や、実現したい要件、求める機能要件・非機能要件をまとめたものです。
この提案依頼書が第三者から見てわかりやすく抜け漏れなくまとまっているかが、プロジェクトの成否に大きく影響します。
また提案を依頼するベンダーの選定も重要です。粒度が異なる提案ばかりになると、比較検討が困難になります。情報収集の段階で、事例やユーザーインタビューなどの情報をもとに自社とマッチした提案が出てくるだろうベンダーをあらかじめ選定しておくことがポイントです。
社内で実現したいシステムを決定したら、次はベンダーから提案を受けるための提案依頼書(Request For Proposal)を作成します。
提案依頼書はシステムを導入する/入れ替える目的や、実現したい要件、求める機能要件・非機能要件をまとめたものです。
この提案依頼書が第三者から見てわかりやすく抜け漏れなくまとまっているかが、プロジェクトの成否に大きく影響します。
また提案を依頼するベンダーの選定も重要です。粒度が異なる提案ばかりになると、比較検討が困難になります。情報収集の段階で、事例やユーザーインタビューなどの情報をもとに自社とマッチした提案が出てくるだろうベンダーをあらかじめ選定しておくことがポイントです。
自社にあったシステムが決まったら依頼先を選定しますが、実際にどの企業に依頼をするかがその後のECビジネスの成功に大きく関わります。選定条件として「機能」「見積(費用)」「実績」「提案能力」などさまざまな視点がありますが、重要なのは「プロジェクトマネージャー」です。プロジェクトマネージャーの能力がプロジェクト成功のカギを握ることになります。ネットビジネスは進歩が速く、常に新しい取り組みにチャレンジしていく必要があります。長期的なビジネスパートナーとして付き合っていけるかどうかが重要となります。
提案時には営業担当からの耳触りの良い話だけでなく、プロジェクトマネージャーとの面談を行うことをおすすめします。プロジェクトマネージャーの実績や自社のビジネス・課題に対する理解度、同業または類似ビジネスモデルでの構築実績があるかなどを見極める機会になります。
ベンダーを決定したら具体的に作成するシステムの全体像を明らかにするためのシステム要件定義を行います。システム要件定義はベンダー主導で進めていく工程ですが、自社の考えを抜け漏れなく伝えるためにも積極的に参加する必要があります。
実は「社内で要件定義を行い提案依頼書に必要な要件を明記しているから、ベンダーとの要件定義は不要」と誤解されているケースがよくあります。要件定義の目的は、システムを開発するにあたりどんな機能が必要なのかを明確にすることにあるため、依頼する側だけでなく、依頼を受ける側にとっても明確になっている必要があります。
また、社内では細かく詰めて明確にしたつもりでも、システムを開発する側の視点ではまだ明確になっていないという場合もあります。認識にギャップがあるまま進んでしまうとトラブルのもとになるため、提案依頼時に社内で要件定義をしていたとしても、しっかりベンダーとも要件定義をする必要があるのです。
ECサイト構築において重要なポイントとなるのがデザインです。リアル店舗に置き換えると店づくりにあたります。トップページはショーウィンドウ、商品一覧や詳細は商品棚やレイアウト、カートはレジ回り、といったように、デザインは企業のブランディングの重要なポイントとなります。
デザイン制作は、大きく以下のような流れで進めます。
どのようなサイト、どのようなデザインにしたいのかを決めるにあたっては、まず調査を行います。以下は調査内容の例です。
このような調査はデザインの方向性を決定づけるために必要な作業ですが、調査や分析には費用と時間がかかります。こうした調査や分析はデザイン会社にまとめて依頼するケースもあれば、別の会社に依頼する場合もあります。
予算や納期の都合上、調査・分析を簡略化してしまうケースは少なくありません。調査や分析をせずに作成されたデザインは、新しい印象を与えることはできますが、目的の機能を十分に果たさないかもしれません。
デザインもシステムも一度作って終わりというものではありません。最初はスモールスタートで実施し、後から改善を回していくというやり方もあります。しかし、もしECビジネスをある程度続けていて、何かしらの課題があってECサイトの再構築を検討するのであれば、この改善のタイミングでしっかり課題解決につながるアクションを打つ方が、改善のサイクルを早めることができます。また、軽微な変更であれば随時実施できますが、大規模なサイトデザインの変更は影響範囲が大きいため、簡単にできるものではありません。
デザインの大きく見直すチャンスであるECサイトの再構築時は、しっかりと分析をした上で進めるとよいでしょう。
システムの要件定義では、どのような画面になるのか、画面数や画面遷移は検討の対象にはなりません。基本設計で具体的な機能が確定したときに、画面ごとの要素の配置、機能と連動したデザインが、ワイヤーフレームと呼ばれる線画で固まります。
理想的なデザイン設計の進め方としてはシステム要件定義が終了し、システムの基本設計と並行して進める流れです。どのような機能が画面上に必要かが決まった後にデザイン設計に入ることで、抜け漏れをなくし、また「デザイン上にだけ存在する機能」をなくすことができます。
デザイン先行で進めていった結果、「デザイン上できるはずだった機能が、システム要件定義の段階でなくなっていた(議論から漏れていた)」といったことになることも、実際は少なくありません。進行上スケジュールが許すのであれば、デザインは必要な機能が決まった後に設計するのが望ましいです。
システムの要件定義では、どのような画面になるのか、画面数や画面遷移は検討の対象にはなりません。基本設計で具体的な機能が確定したときに、画面ごとの要素の配置、機能と連動したデザインが、ワイヤーフレームと呼ばれる線画で固まります。
理想的なデザイン設計の進め方としてはシステム要件定義が終了し、システムの基本設計と並行して進める流れです。どのような機能が画面上に必要かが決まった後にデザイン設計に入ることで、抜け漏れをなくし、また「デザイン上にだけ存在する機能」をなくすことができます。
デザイン先行で進めていった結果、「デザイン上できるはずだった機能が、システム要件定義の段階でなくなっていた(議論から漏れていた)」といったことになることも、実際は少なくありません。進行上スケジュールが許すのであれば、デザインは必要な機能が決まった後に設計するのが望ましいです。
デザイン制作が終わると、いよいよシステムに組み込む作業に移ります。実際に動作する検証環境上で確認し、軽微な修正を行います。デザイン制作とシステム開発をそれぞれ別の会社に依頼するケースも多いのですが、動作するサイトで確認した際に微修正したいことはあります。デザイン制作会社との契約は、制作物を納品して終わりではなく、そのあとの軽微な修正や納品後フォローをしてもらえる体制を求めましょう。
要件定義が終わり作るべきデザインが確定したら、依頼したベンダーが設計を始めます。作るものを決めるまでは発注者も積極的に関与する必要がありますが、作り始めたらその期間はあまり作業することはありません。
ただし、予定通り作業が進んでいるか、問題はないかを定期的に報告を受ける仕組みを用意しておくとトラブルを未然に防ぐことができるかもしれません。例外はありますが、詳細設計から製造、テストまでは請負契約で発注することがほとんどです。その場合、納期までに完成させる責任を負うのはベンダーになるため、発注者側が管理する必要は契約上ありません。しかし、任せっぱなしで納期近くになってトラブルが発覚するよりも、定期的に状況を共有してもらえば、事前に準備や調整することも、次善策を協議することもできます。
もちろんあまり細かく報告を求めても双方の生産性が落ちてしまうため、それはそれで問題です。契約上の立て付けは重要ですが、プロジェクトを成功させるために必要なことはなにか、という観点でベンダーと良好な関係を築けるようコミュニケーション方法を確立するとよいでしょう。
実際のシステムが納品されたら、想定通りに業務が実行できるかテストを行います。新しく制作したシステムの画面が問題なく動作するかという確認だけでなく、連携するシステム含めて一連の業務が回るかをテストします。
最初からバグのないシステムはありません。ベンダー側ももちろん動作テストを行った上で納品しますが、受け入れる自社としてもしっかり問題ないか確認しましょう。システムを入れ替えた後に業務上必要な機能が動作しないとなると一大事ですので、この段階で業務上想定される処理を一通りテストしておきましょう。
このテストは自社が主体的に行なうものですが、新しいシステムなのでベンダーにも協力してもらいながら進めるとよいでしょう。テストは、実業務を担当する主要なメンバーと、その管理者で行なうのが理想的です。システムのリリース前に実施するユーザー向けのレクチャーで、テストを行いシステムの理解を深めたユーザーの立場から、実業務との差を踏まえて伝えることができます。
テストを行い、動作に問題がないことが確認できたら、いよいよリリース(サイトオープン)です。許容できない問題がないことを確認してからリリースしても、新システムの立ち上げは何かと想定していないトラブルが起きがちです。なにかあっても対応できるよう、ベンダー側も自社側も体制を厚くしてサイトオープンに備えましょう。
多くのお客様に訪問してもらいたくても、リリース直後は様子を見ながら対応し、問題がないことが確認できてから大々的に告知をすることをおすすめします。
ECサイトを構築する場合はベンダーに依頼する場合もありますが、自社で開発する場合もあります。以下では、自社開発と開発会社への外注についてメリット、デメリットをご説明します。
自社開発では、予算と必要なスキルを持ったエンジニアやデザイナーといったリソースが確保できれば、自社の理想を実現できるサイト構築の開発が可能です。デザインや機能を自社の希望通りに、素早く柔軟に進めることができます。特にWebに関する幅広いノウハウやスキルをもつ人材がいるならば、外注よりもスムーズにECサイトの構築ができるでしょう。
運用においても自由度が高いため、自社のビジネス戦略に基づいたマーケティング施策を素早く自社ECサイトに反映させることができます。売り方だけでなく、見せ方にも細かくこだわることができるので、細かなブランディングにも適しています。
自社開発でECサイトを構築しようとすると、システムの要件定義から構築、その後の運用まですべて自社で対応することになるため、結果として業務負担が大きくなります。ECサイトの構築に関係する人材がほかの業務も兼務していれば、通常業務に支障が出て、商品開発やプロモーションに悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、専門知識をもつ人材がいないからと簡単に構築できるツールを使うと、デザインや他システムとの連携などのカスタマイズに制限がある場合が多く、ECサイトのクオリティも低くなりがちです。結果的にECサイトを構築しても売上に貢献できないなどの懸念点もあります。
開発会社は専門的な知識やスキル、ノウハウを有しているため、質の高いECサイトを構築することができます。事前のヒアリングを密に行ったうえで開発を依頼すれば理想のECサイトの構築ができるでしょう。
専門的な人的リソースを豊富に抱えていることも開発会社のメリットです。仮に自社にそうした知識をもったエンジニアがいたとしても、1人では開発が完了するまでかなりの時間が必要となります。
高い専門性のある人がいること、またそういった人をたくさん抱えていることが開発会社の特徴で、結果ハイクオリティなものを素早く構築することができるというメリットにつながります。
外注すると当然ながら費用がかかります。自社開発では人件費などで済みますが、外注すると通常それ以上のコストがかかります。予算が限られている場合は、必ずしも自社が理想とするECサイトにならない場合も考えられます。
また、開発だけを外注するのではなく、その後の運用も依頼する場合はさらに継続的なコストが発生します。自社の予算との兼ね合いを慎重に検討することが重要です。
ECサイト制作サービスは、ECサイトの構築やリニューアル、運営などに必要なさまざまなサービスを提供しています。ECサイトの構築はもちろん、ECサイトを適切に運営するための運営支援を受けられることが特徴です。ここでは、具体的にどのようなサービスがあるかご紹介します。
ECサイト制作サービスでは、ECサイトの構築・リニューアル・運営に必要なさまざまなサービスを受けることができます。
ECサイト制作サービスを提供している会社には、ECサイトのトップページ・カテゴリページ・商品ページといった各ページの制作やリニューアルを依頼できます。
既存のECサイトに新規商品ページを追加したい場合や、各ページをブラッシュアップしたい場合など、上質なページを作成してECサイトを強化することができます。実力がある会社であれば、コンセプトや魅せ方まで意識したページの制作が可能です。
サイト全体のデザインはECサイトの店構えそのものです。顧客に良い印象を与えるために、自社のカラー・ブランド・オリジナリティを反映した洗練されたデザインを作成することがポイントです。
ECサイトのデザインは、ECサイト制作サービスを提供している会社が行っているメインサービスのひとつです。見た目の美しさだけでなく、自社のターゲットユーザーに刺さるデザインになっているか、どのような導線にするのが適切かなどの提案を受けることができます。
サイトデザインは長期的にECサイトの「顔」として使っていくことになるため、十分な予算を割り当てて、プロに依頼してクオリティを追求することをおすすめします。
商品データの移行
ECサイトを新設したり移転したりする場合は、旧サイトから商品データを移行させる必要があります。しかし、膨大な商品点数を扱うECサイトの場合は、自社で商品データ移行を行うと莫大な手間と時間がかかってしまいます。
ECサイト制作サービスを提供している会社の多くは、商品データ移行を代行するサービスを提供しています。
商品数が多いほどコストはかかりますが、基本的に商品数を問わず依頼することができるため、自社でデータ移行を行なうことが難しい場合は依頼してみるのもおすすめです。
集客支援
ECサイトは、実際に商品を販売することを目的としているため、サイトのビジュアルや機能性だけでなく、いかに集客を行うかが非常に重要です。
ECサイト制作サービスを提供している会社のなかには、Webマーケティングによる集客支援を提供している会社もあります。
自社で集客を行なっているけれどうまくいっていない場合や、リソース不足で集客施策に手が回らない場合は、集客代行やコンサルティング等の集客支援サービスを利用してみるのもひとつの方法です。
ノウハウやスキルが洗練されている会社であれば、集客面からもECサイト運営をサポートしてくれるでしょう。
ECサイトはより多くの人々に訪れてもらう必要がありますが、有料のWeb広告ばかりに頼っていては広告費が嵩むため、SEO対策に注力することも重要です。ECサイト制作サービスを提供している会社には、検索上位に繋がるサイト構成やページ構成、外部施策をサポートしている会社もあります。
検索上位に表示させるためには、継続してSEO対策に取り組む必要があります。自社にノウハウがない場合は、ECサイト立ち上げ後も長期的にSEO対策の対応をしてくれる会社を選ぶのがよいでしょう。
ECサイトは商品が購入されると必ず発送作業が発生するため、物流の仕組みや業務フローを整えておく必要があります。物流が改善するだけで、自社の負担軽減・業務効率化・顧客満足度向上など、さまざまなメリットが得られます。
ECサイト制作サービスを提供している会社のなかには、在庫管理・発送業務等の物流を最適化するための提案やサポートを行っている会社もあります。
洗練されたノウハウを持っている会社であれば、自社内では実現できない物流の仕組みを構築できることもあるため、現状のECサイト運営に物流の課題を抱えている場合は検討してみるのもおすすめです。
ECサイト制作サービスを提供している企業は非常に多く、依頼する企業によってできあがるECサイトのクオリティから失敗するリスクまで左右されてしまいます。
ここでは、ECサイト制作サービスならびに提供している企業の選び方をご紹介します。
主なサービス内容はどのECサイト制作会社も似ていますが、対応している範囲は会社によって異なります。そのため、依頼を行なう際にはサービスの対応範囲を事前に確認しておくことが重要です。
もし自社が求める依頼の一部が対応範囲外であった場合は、ワンストップで要件を完了することができず、別の会社へ依頼することとなるため不要な手間や時間をかけてしまうことになりかねません。
スムーズにサービスを利用するためにも、事前に対応範囲については必ず確認するようにしましょう。
ECサイト制作サービス会社に依頼する要件は、詳細な擦り合わせが必要となる内容ばかりです。そのため会社を選ぶ際には、きめ細やかで密なコミュニケーションが取れる会社を選ぶことが重要なポイントとなります。
コミュニケーションに齟齬が発生すると、求めていた要件とは違う成果物が納品されたり、ミスや抜け漏れが起こったりする原因となるため注意が必要です。ECサイト制作サービス会社を選ぶ際には、問い合わせや商談の時点で相手方の丁寧さ・誠実さ・コミュニケーション密度を確認するようにしましょう。
優秀なECサイト制作サービス会社は数多くありますが、Webサイトのサービス紹介・会社案内だけでは実際の制作イメージを正確に判断することはできません。そのため、自社が求めるイメージにマッチした会社を選ぶためには、実際の制作実績を細かく確認することをおすすめします。
制作実績を見れば、デザインの傾向や特徴・スキル・クオリティ等さまざまな面から制作会社の実力を判断することが可能です。特に、自社と同じ規模・同じ業態での制作実績があると参考になるでしょう。安心してスムーズな依頼を行なうためにも、ECサイト制作サービス会社の制作実績は必ず確認しておきましょう。
ECサイトを構築する目的のほとんどは「デジタル技術を活用して売上を伸ばす」ことです。単にECサイトを構築するだけではこの目的は達成できません。ここでは、サイトを構築したあと、ECビジネスを運営する上で発生する業務について詳しくご紹介します。
大まかには以下のような業務が発生します。
ECビジネスの成功には、システムを構築するだけでなく、適切な運用体制の構築が不可欠です。現状の業務フローにシステムを合わせるのではなく、システム刷新のタイミングで将来の成長に向けて、あるべき業務を再度定義することも重要です。
ECサイトを運営する業務のなかで最上流工程の業務です。ECサイトで販売する商品の企画、ECサイトの構築、商品の仕入れがマーチャンダイジング業務の内容です。ECサイトで販売する商品を「どんな商品を・いつ・誰に・どれくらいの量を売る」といった販売計画を立てて企画をつくります。
マーケティングの基本は集客です。サイトターゲットによって集客対象の媒体は異なりますが、GoogleやYahoo!などの検索エンジンからの自然検索による流入、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNS、実店舗からの集客、各種広告媒体からの集客などが挙げられます。
コストパフォーマンスでは自然検索からの流入が圧倒的によいといえますが、市場認知、SEO評価に時間を要する場合が多いため、並行してSNSによる発信や広告媒体出稿から集客にドライブをかける必要があります。
各種メディアを利用して、どのように認知を獲得するかを計画し、実行していくかが非常に重要です。
在庫管理、商品の受発注、そしてカスタマーサポートを担当する業務です。受発注管理業務はECサイトのバックエンド業務のなかでも中心的な役割となります。単純に受注を受けて流すだけではなく、受注傾向や在庫状況をマーケティングにフィードバックし次の仕入計画の立案やセールの企画につなげます。仕入れが必要な場合、仕入先への発注や注文が遅れてしまうと納期遅延や販売機会の損失につながります。
こうした受発注に関わる業務をどれだけ自動化できるかが、オペレーション効率化のカギになります。
また、良質なカスタマーサポートはサイトのファン作りにも大きく寄与します。「またここで買おう」「友達にも教えてあげよう」とサイトに対するロイヤリティを高めるためにも重要です。
発送は自社倉庫からの発送もしくは3PLでの外部委託倉庫からの発送となります。配送そのものはヤマト運輸や佐川急便などの大手配送業者に委託することが多いですが、最近では、大手配送業者と組み合わせ、地域限定や時間限定の小規模配送業者を利用することで都内当日配送のようなサービスや配送コスト全体のコストダウンを図るケースも多くあります。
ECサイトの運営に関わるポイントは以下の記事もご覧ください。
ECビジネスを始める、ECサイトを構築する際には検討しなければならない要素が多くありますが、今回はそのなかでも重要なポイントをご紹介しました。これからECを始める、ECビジネスを改めて見直す方にとって参考になれば幸いです。