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社販(社員販売)とは?目的や仕組み、メリットを詳しく解説

作成者: 株式会社DGコマース|2022.03.14

福利厚生の一環として、自社商品を通常販売価格よりも安価に購入できる制度を設けている企業は多くあります。このような制度は「社販(社内販売)」と呼ばれており、企業が目的を持って導入しています。

当記事では、社販の概要・目的・仕組みから、社販を導入するメリット・デメリット、社販の提供手段について解説しています。社販について詳しく知りたい方や、導入・活用を検討している方は、ぜひ参考にしてみて下さい。

社販とは

社販とは「社内販売」の略で、自社の従業員に通常価格よりも安い価格で自社商品を販売することを言います。従業員に対する福利厚生を提供したい企業や、アパレル業界など自社商品の着用を義務付けている企業で導入されている制度です。

社販は活用方法次第では企業側・従業員側双方にメリットのある制度となります。当記事では、そんな社販制度について詳しくご紹介していきます。

職域販売との違い

社販とよく似た販売方法には職域販売というものもあります。一般価格よりも割安な価格で販売を行うという点では共通しているため混同されがちですが、前者が自社の従業員に対して販売を行うのに対し、後者は取引先など他社の従業員に対して販売を行うという違いがあります。

企業が職域販売を行う目的は、主に売れ残った商品の処分です。社販と同じくクローズドな環境で販売が行われるため、企業はブランド価値を毀損することなく在庫を利益に変換できるのがメリットです。取引先にベネフィットを提供して、良好な関係を構築することを目的とする場合もあります。

他のビジネスモデルとの比較

ここでは、社販と一般的なビジネスモデルの違いについて解説します。ビジネスモデルは商品・サービスの提供者と取引対象者によって、次の8種類に分類されます。まずはこちらを見ていきましょう。

  • BtoC(Business to Consumer):企業対消費者間取引
  • BtoB(Business to Business):企業間取引
  • DtoC(Direct to Consumer):メーカー直販取引
  • CtoC(Consumer to Consumer):消費者間取引
  • BtoBtoC(Business to Business to Consumer):企業対企業対消費者間取引
  • BtoG(Business to Government):企業対行政間取引
  • GtoC(Government to Consumer):行政対消費者間取引
  • BtoE(Business to Employee):企業対従業員間取引

社販は、上記の最後にご紹介したBtoEのビジネスモデルに該当します。多くのビジネスモデルと社販との違いは、取引対象が外部ではなく内部であるという点です。

また、行政サービスを除く多くのビジネスモデルが商品販売による営利目的が主であるのに対して、社販は直接的な利益ではない部分を主目的としているという違いもあります。

社販の目的

社販は自社商品を大幅な割引率で販売するため、企業側にとってコスト面ではマイナスです。しかしそれでも企業が社販を実施する理由は、経営上の明確な目的が存在するためです。

ここでは、企業が社販を実施する主な目的について2点ご紹介します。社販を実施する目的によって得られる効果も大きく異なるため、社販がどのような目的で実施されるのかを把握しておきましょう。

福利厚生として

企業が社販を導入する目的の多くは、従業員に対する福利厚生です。近年は労働人口の減少により人材の確保が困難になっており、企業は人材の確保・定着のためにさまざまな努力を行っています。社販制度の導入による福利厚生の充実はその一環です。

求職者側でも福利厚生の充実度を重視して入社する企業を選ぶ傾向が強まりつつあり、求職者ならびに従業員に自社で働くベネフィットを提供することを目的として、多くの業界・企業が社販制度を導入してきています。

商品理解や宣伝のため

アパレル業界など、接客時に自社商品の着用を義務付けている業界においては、福利厚生の一環としてだけでなく、商品理解や商品PRを促進することを目的として社販制度を導入しています。

このような業界では、もし社販制度がなければ従業員は仕事着となる洋服にかかる出費が大きな負担となります。そのため、従業員の負担を低減して積極的に自社商品の活用を促進することを目的として社販制度が導入されているケースが多く見られます。

商品理解・商品PRを目的とした社販は、基本的に割引率が大きく設定されているのが特徴です。

社販の仕組み

社販について理解を深めるために、実際に社販がどのような仕組みで提供されているのか解説します。

商品割引率

社販で提供される商品は、商品の単価や原価率によって異なりますが、おおよそ50%程度に設定される傾向にあります。

企業も利益を確保しなければならないため、原価率が低いほど割引率は高くなり、原価率が高いほど割引率が低くなります。また、単価が高い場合は従業員の出費が増えるため、単価については高いほど割引率が高くなります。

支払方法

社販の提供形態によりますが、店舗型の場合は現金決済もしくは給料から天引き、ECの場合はクレジットカードまたは給料から天引きを行うのが一般的です。

購入可能な商品

自社の取扱商品であればどれでも購入できる企業もあれば、売れ筋商品や在庫が少ない商品に関しては対象外としている企業もあります。

購入制限

無制限に社販を許可してしまうと、大量購入などにより本来の販売活動に影響を及ぼす可能性があるため、多くの企業では一定の購入ルールを設定しています。

社販のメリット・デメリット

多くの企業が社販制度を導入している理由は、従業員側にとっても企業側にとってもメリットがあるためです。しかし、社販制度にはメリットだけではなくデメリットとなる側面もあります。

ここでは、社販のメリット・デメリットについて、従業員側・企業側双方の視点から解説します。

従業員側のメリット

社販で従業員側が得られるメリットとしては、商品を割安で購入できることが挙げられます。ただし、福利厚生目的の場合と商品PR目的の場合では、従業員側が得られるメリットの性質が異なるため、以下にそれぞれ解説します。

福利厚生目的の社販の場合

福利厚生で社販が提供されている場合のメリットは、商品を割安で購入することで出費を低減できることです。

特に、アパレル・食料品・日用品を扱う会社であれば、生活費の節約に繋げることができます。

商品PRの社販の場合

アパレル企業等で商品PRのために社販を提供している場合は、従業員は仕事着である洋服にかかる出費を低減できることがメリットです。安価で多くの洋服を購入できるためコーディネートの幅も広がり、商品への理解が深まるため接客時の訴求力を高めることができます。

また、社販で購入した洋服はプライベートでも着用できるため、最新のアイテムをお得に入手できるというメリットもあります。

従業員側のデメリット

社販の従業員側のデメリットは、安価で商品を購入できるが故に、過剰に利用してしまう恐れがあることです。福利厚生の社販においても、アパレル企業等のPR目的の社販においても同様です。

特に、自分好みのアイテムを扱うショップで働いているスタッフは、常に商品と触れ合っており通常販売価格も把握しているため、魅力を感じた商品を買いすぎてしまう場合があります。

また、会社から商品購入を強要されるケースがあります。いくら安価で商品を購入できたとしても、本人の意志とは関係なく不要な商品まで購入したのでは、従業員にとってはデメリットでしょう。

企業側のメリット

社販は自社商品を割安で販売するため一見すると企業側にはメリットが無いようにも思われますが、企業側にも明確なメリットがあります。企業側のメリットについても、福利厚生目的の場合と商品PR目的で性質が異なります。

福利厚生目的の場合のメリット

福利厚生目的で社販を実施する場合は、ベネフィットを提供することによる従業員の満足度向上が主なメリットとなります。満足度が向上することにより、定着率アップや自社への帰属意識向上といった効果が期待できます。

また、求職者に対して自社の魅力をアピールすることにも繋がります。

商品PR目的の場合のメリット

アパレル企業等で従業員に自社ブランドの着用を義務付けている場合は、従業員に安価でアイテムを提供することにより、従業員が積極的に自社商品を活用してくれることがメリットです。

従業員が自社アイテムの魅力的な広告塔となってくれることで、企業側は販売促進・売上向上といった恩恵を得ることができます。

企業側のデメリット

社販の実施による企業側のデメリットは、割引価格で商品を販売することにより利益が減ってしまうことです。本来の商品価値や原価率を考慮して適切な割引率を設定しておかないと、利益の減少だけでなく赤字に転落してしまう場合もあるため注意が必要です。

また、従業員が社販を過剰に利用することにより、通常販売のための在庫が不足してしまうケースもあります。

そのため、適切な割引率の設定や購入上限の設定など、あらかじめリスクヘッジの仕組みを考慮しておくことが重要となります。

社販ECサイトとは

店頭で販売するのと同様の方法で社販を行うと、社販用の商品管理や集計・集金に多大な労力が掛かりますが、社販ECサイトを活用すれば、オンラインで従業員に商品を提供できるだけでなく、商品管理・集計・集金の労力も大幅に削減することができます。

社販用の在庫数量を設定しておけば過剰な利用を防ぐこともできますし、利用状況の把握や効果測定も容易に行うことができます。

特に、従業員数が多い企業では社販を実施する労力も甚大であるため、近年では社販ECサイトを活用することで社販を効率化・合理化する企業が増えてきています。

社販ECサイトの主な特徴

社販ECサイトは、一般消費者を対象としたECサイトとは大きく異なる特徴を持ちます。これからECサイトで社販を導入しようと考えているのであれば、社販ECサイトの特徴について把握しておくことが重要となります。

ここでは、社販ECサイトの主な特徴についてご紹介します。

社員以外には非公開のクローズドなサイト

社販ECサイトの最大の特徴は、社販の対象となる従業員のみが利用できるクローズドなサイトであることです。

社販は大幅な割引率で自社の商品を販売するため、当然ながら外部の一般ユーザーに利用されては困ります。そのため、社販ECサイトのプラットフォームには、クローズドなマーケットを構築するためのアクセス制限・ユーザー識別といった機能が搭載されています。

社販ECサイトの運営する際には、このような機能を適切に活用して、クローズドな環境を担保することに細心の注意を払いつつ運営する必要があります。

従業員登録が必要

社販ECサイトは上述のとおりクローズドマーケットであることが必須条件であるため、その環境を実現するために従業員登録を行うことが必要となります。

従業員登録にあたっては、個人ID・パスワードだけでなく社員ID・社員氏名を設定するなど、従業員を識別するために一般のECサイトの会員登録よりも複雑な条件を設けるのが一般的です。

従業員登録と同時に、対象者別の利用制限や、社販ECサイトでの決済方法等についても設定を行っておく必要があります。

まとめ

従業員を対象に商品を販売する社販について、概要やメリット・デメリットなどを解説いたしました。社販は企業にとって福利厚生の提供・商品理解・広告宣伝といったメリットがありますが、利益率低下・在庫不足といったリスクを招く場合もあるため、導入する際には一定のルールを設けるなどの対策が必要となります。

社販の導入にはアナログな方法では労力が掛かるため、効率化・合理化するには社販ECサイトを利用することがおすすめです。しかし、ご紹介したとおり社販ECサイトには特有の機能が必要となり、従来のECサイト構築サービスではフィットしないケースもあるため、複数のサービスを比較検討することが重要となります。

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